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カタカタと、室内にパソコンのキーを叩く音だけが… …否 いつも通り、不気味に踊っている人体模型の声も消えてくるが、うざいので無視である なお、本日人体模型が踊っているのは、日本舞踊 地味に上手いのが、殊更ウザイ上に腹が立つ …カタカタカタ 静かに、静かに キーボードを叩く音と、時折、マウスをクリックする音が、響く 『どうなさったんですか?先ほどから、深刻な表情をなさって…』 「…いや」 ことん、と 茶を入れてきた白骨標本の言葉に、男は軽く首を振った 半ば私物化している理科準備室 そこに持ち込んでいるパソコンの画面に映し出されているそれを前に…男は、眉間の皺を深めた (…ちょいとばかし、多すぎやしないか?) 都市伝説関連の、掲示板 それも、地域を限定したもの 自分の住んでいる地域での目撃情報があった都市伝説が、随時書き込まれている掲示板 中には、ガセネタも多い事だろう その中から、信憑性の高い情報だけを抜き出したに、しても あまりにも、多すぎるのだ 体を求めて彷徨う生首 子供を惨殺する怪人赤マント バイパスを走る黒い犬 山道を走る首なしライダー 1,2,3のピエロ 墓場の前でかかってくる、死者からの電話 車のフロントガラスに貼り付けられたハンバーグ 黄色い雨ガッパ… 多すぎる さほど広い範囲ではないと言うのに、あまりにも、都市伝説の目撃談が多すぎる 中には、自分たちが退治してきた都市伝説なども含まれるが 何故、こんな狭い範囲で、ここまで多くの都市伝説が? この事態は、少し異常なのではないか (…この学校だけでも多すぎると思ってたってのに。街全体で見たらそれ以上ときたか) …まったく 自分はどれだけ、厄介な高校に赴任してしまったのか 改めて、ため息が出る 『あの…?』 『はっはっはー、何、深刻な顔してはりますのん。どんな時でも笑顔が一番でっせー』 ぬぅ 真横に、人体模型の顔が近づいてきた うざいうえに、グロイ 「………」 っじゅ 『うわっちゃぁ!?』 『あぁっ!?人体模型さん、大丈夫ですか!?』 とりあえず、人体模型の片目にタバコなど押し当てて追い払い ぐ、と大きくのびをした 都市伝説が多すぎる地域 そこで、都市伝説と契約した、自分や、あの花子さんと契約した男子生徒 自分たちは、もしかしたら、想像以上に厄介な事に首を突っ込んでしまっているのかもしれない そんな、嫌な考えが頭をよぎる 「…気のせいなら、いいんだがな」 『あちちちちちちち!?そしていだだだだだだだ!?』 『あぁああ!?人体模型さん、また内臓を巻き散らかしちゃってます!?そして潰しちゃってます!?』 ごろごろごろごろごろごろごろごろ 目に押し当てられたタバコの熱さに転げ回り、その拍子に内臓を落とし、転げまわり続けている為にその内臓を自分で潰す …と、言う、あまりにもベタでグロい事をやってのけている人体模型 何故、こんな馬鹿と契約してしまったのかと己の人生を軽く後悔しつつ …この街に赴任してきた以上は それが運命であったと思うしかない、と 結局、彼はいつも通り、諦めてしまうのだった fin 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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江崎 切人 【雀】江崎 切人 【煌】江崎 切人 【図鑑137】 【図鑑164】 【図鑑260】 江崎 切人(えざき きりと) SSR SSR-Max SSSR[覚醒] 「お前、いっぺん死んどく?」 「」 「つまり、俺は毒だぜ?取り扱いには注意しろよな?」 街の不良から裏社会の権力者にまで成り上がった実力者。表には決して現れないが、様々な犯罪を裏で操る。人は自らの意志で選択し、行動することに価値があると考えている。 知ってるかい?孔雀ってのは、毒をもったサソリとか毒ヘビを好んで食うんだよ。やっぱ美しくて強い奴ってのは毒を制して自身が毒を発するんじゃねえかと思うのよ。 コスト20成長型晩成 Lv1⇒100攻撃7460⇒31332防御4840⇒20328特攻3520⇒14784特防3520⇒14784 前衛[風]漆黒孔雀消費手札P 30単体使用回数 1回[攻撃][敵1-2人][減少][敵1-2人][2人気絶 確率で使用回数消費なし][複数奥義効果][智の構え 回数消費なし・智の構え+1][暴の構え 回数消費なし・暴の構え+1][1回] 後衛[風]黒鳥の舞い消費手札P 30単体使用回数 1回[減少][敵全員][複数奥義効果][対象5人 確率で使用回数消費なし][智の構え 暴の構え 回数消費なし][特殊条件 手札P回復][味方後衛][自身][1回] サポート[風]猛毒注意単体使用回数 制限なし[確率発動][風・暴威力・効果増加][攻撃スキル 威力増加][応援スキル 発動率増加] ・敵1-2人に特大ダメージを与え、全パラメータが特大ダウンする。・更に2人気絶させた場合、50%の確率でスキル使用回数を消費しない。・敵生存者が2人以上いる場合、攻撃対象が必ず2人になる。・智の構えと暴の構えの効果も受け、効果は得るが残り有効回数を消費しない。・智の構え発動時、智の構えの残り有効回数が0回でも智の構えの残り有効回数が1回増える。・暴の構え発動時、暴の構えの残り有効回数が0回でも暴の構えの残り有効回数が1回増える。・レベルが上がると威力と効果が増加する。 ・敵全員の全パラメータが特大ダウンする。・対象が5人の時、50%の確率でスキル使用回数を消費しない。・智の構えと暴の構えの効果も受ける。・智の構えと暴の構え発動時、効果は得るが残り有効回数を消費せず、自身よりパラメータが高いダウン対象の数だけ参戦者優先で味方後衛の手札Pが回復し、さらに自身の手札Pが回復する。・敵全滅時には使用不可。・レベルが上がると効果が増加する。 ・一定確率で風属性スキルと暴属性スキルの威力・効果が中アップする。・攻撃スキルの場合は威力が大アップし、応援スキルの場合は発動確率が増加する。・レベルが上がると発動確率と効果が増加する。 前衛[風]【役強化】漆黒孔雀消費手札P 30単体使用回数 1回[攻撃][敵1-2人][減少][敵1-2人][2人気絶 確率で使用回数消費なし][複数奥義効果][智の構え 回数消費なし・智の構え+1][暴の構え 回数消費なし・暴の構え+1][役強化 ワンペア威力1.5倍][1回] 後衛[風]【役完成】武闘の舞い消費手札P 30単体使用回数 1回[減少][敵全員][複数奥義効果][対象5人 確率で使用回数消費なし][智の構え 暴の構え 回数消費なし][特殊条件 手札P回復][味方後衛][自身][役完成 ワンペア][1回 【ワンペア威力1.5倍】・敵1-2人に特大ダメージを与え、全パラメータが特大ダウンする。・更に2人気絶させた場合、50%の確率でスキル使用回数を消費しない。・敵生存者が2人以上いる場合、攻撃対象が必ず2人になる。・智の構えと暴の構えの効果も受け、効果は得るが残り有効回数を消費しない。・智の構え発動時、智の構えの残り有効回数が0回でも智の構えの残り有効回数が1回増える。・暴の構え発動時、暴の構えの残り有効回数が0回でも暴の構えの残り有効回数が1回増える。・レベルが上がると威力と効果が増加する。 【使用後ワンペア完成】・気絶者含む敵全員の全パラメータが特大ダウンする。・対象が5人の時、50%の確率でスキル使用回数を消費しない。・智の構えと暴の構えの効果も受ける。・智の構えと暴の構え発動時、効果は得るが残り有効回数を消費せず、自身よりパラメータが高いダウン対象の数だけ参戦者優先で味方後衛の手札Pが回復し、さらに自身の手札Pが回復する。・レベルが上がると効果が増加する。 出現日2018/03/01取得方法
https://w.atwiki.jp/0ny0ny0ny/pages/616.html
財政が逼迫している自治体から比較的余裕のある自治体が滞納者の債権を買い取り、回収を代行。未回収の場合でも、労役などで補えるシステムを導入します。
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…カタンっ 秋祭り、前日 今年の秋祭りは、特別にお化け屋敷も設置される事になった テーマは……「学校」 そのお化け屋敷内の、理科室ゾーンにて そいつらを設置する 「…これでいいな」 俺は、タバコを取り出そうとして… …流石に、ここで吸うのは問題だろう、と流石に自重した 換気があまりよろしくないから、タバコの匂いが篭りそうだ 「どうだ?……テリトリーとして認識できるか?」 『はい、問題なさそうです』 『ここでなら、本領発揮できそうやでー」 カタカタっ 骨格標本がゆれ、人体模型も答える …そうか、それなら、いい それならば、ここで戦えるだろう 「…まぁ、問題は、ここまで「夢の国」が入り込んでくるかどうかだがな」 『はっはっは、それを言うのはヤボでっせー』 …それもそうなのだが とりあえず踊るな人体模型、鬱陶しい 今日のダンスは何だ。邪神への祈りの踊りか、それとも悪魔召喚のダンスか? 内臓を必要以上に揺らすな、グロい 『あ、でも、でも。万が一、ここに入ったお客さんが襲われた時は、助けられますから!』 「……そうだな」 骨格標本の言葉に、頷く 祭当日は一日目二日目続けて、俺もここに待機しているつもりだ …公務員はバイト禁止だから、ボランティアとして参加、という扱いだが バイト代は出ないが、仕方あるまい 「………」 首筋をさする 「夢の国」が、一体この町で何をしようとしているのか? 俺は、そんな事は知らない ただ、流石に教え子が巻き込まれるのは気分が悪い ……それに、だ 弟から聞いた話だが…もしかしたら、学校町そのものを、消滅させかねない動きもあるという ……ふざけるな 「……学校町には、親父たちの墓もあるからな…」 弟は逃げろ、と言ってきたが、逃げる訳にはいかない 両親の墓がこの町にある事と…唯一の家族の弟を置いて逃げるなど、できるものか 俺ができるのは、己の身を護る事と、せめて生徒を少しでも助けてやる事くらい ……それだけでも、やらせてもらうとしようか 終 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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さぁ、はじめよう 夜の宴を 観客のいない舞台をはじめよう そう、あなたは既に舞台にあがっている 降りる事など、許されない 舞台から降りる時は それは、命を落とす時だけなのだから Red Cape びちゃり! 飛んで来たそれを、彼はひらりとかわした 塀に、無数の蛞蝓が蠢いている ……気色悪い 「悪い子だねぇ。料理を粗末にしちゃあいけないよ?」 「それはこっちのセリフなんだが。つか、そんなもんを俺は料理とは認めねぇ」 ロクな料理など作れない癖に、彼はぼそりとそう呟く 人体模型と白骨標本が戦っている相手 しかし、それは隙を見ては、彼の口目掛けて料理を放り投げてくる それを彼が避けると…それは、無数の蛞蝓へと変化するのだ 『蛞蝓おばさん』 雨の日に、傘を忘れた少年が走って帰っていると、優しそうなおばさんに声を駆けられた おばさんは少年を家に招待し、美味しい手料理を振舞ってくれた …しかし、その少年は日ごと衰弱していくようになり…ある日、公園で遺体で発見された なぜか、少年の周囲には蛞蝓が数匹うごめいていた 蛞蝓おばさんの仕業だと、子供たちは噂した その後、再びそのおばさんは別の少年を家に誘った しかし、蛞蝓おばさんの噂を聞いていた少年は、持ち歩いていた塩を料理にかけた すると、料理は全て蛞蝓へと変化し、少年は驚いて塩を全てオバサンに投げつけて逃げ出した… それが、蛞蝓おばさんの都市伝説 塩を投げつけられた蛞蝓おばさんがどうなったのか?…そこまでは、あまr語られていない しかし、蛞蝓おばさんというネーミングと、最後に塩を投げつけられた、と言うエピソードから…恐らく、皆はこんな想像をするはずだ …蛞蝓おばさんの正体は、巨大な蛞蝓なのだ、と 「…その結果が、これか」 どろり、ぐちゃり 蠢くそれは、巨大な蛞蝓 それは、料理を出現させて投げつけてくる 狙いがさほど正確ではないのが幸いだ 『うぅ、な、蛞蝓みたいな生き物はちょっと苦手です…っ』 『はっはっは、打撃が効きにくい相手はきついですわー』 「効きにくくても、やれ。とりあえず攻撃しとけ」 タバコを咥えつつ、ぼそりと彼は呟く …確かに、場所も悪いし、攻撃は効き難いだろう ここは、白骨標本と人体模型のテリトリーではない 理科室の外……どころか、学校の外だ 恐らく二人とも、本来の力の半分すら出せていない …それは、彼とてよくわかっている だから、こそ……仕込みはしてきているのだ 白骨標本の骨の刃が ミサイルのように飛ぶ人体模型の内臓が、目玉が 蛞蝓おばさんを容赦なく攻撃する しかし、その攻撃は時に避けられ、当たってもあまり効果はなく 戦局は、なかなか動かない 「あぁ、もう、どうして食べてくれないの?」 ひゅん!と 蛞蝓おばさんは、サラダを投げつけてきた 避ける びちゃり、サラダは塀に激突し…蛞蝓へと変化した 塀をうねうねと、蛞蝓は不気味に蠢いている 「愛の篭った手料理よぉ?食べてぇ?」 「いらん」 冷たく言い切る …愛の篭った手料理なんざ、食い飽きている 若干、鬱陶しいほどの弟の愛情料理を だから、そんなもんはいらん 『はっはっは、無駄やでー。あのお人は、ブラコンな弟はんの愛情料理でおなか一杯やからなー』 「あえて人が口に出さんかった事を言うな。死ね。氏ねじゃなくて死ね」 ぼそり、人体模型に対し、絶対零度の声で突っ込む彼 あの変態め、後で小腸と大腸を蝶結びにでもしてくれようか 第一、無駄口を叩いている暇があったら、とっと得意のグロ攻撃でもしていろ 「あらぁ、それなら、おばさんの料理の方が美味しいわよぉ?」 再び、料理を構える蛞蝓おばさん あぁ、鬱陶しい 『そんな事、させませんっ!!』 白骨標本の骨の剣が、料理を引き裂く ぼとぼとぼとっ! 切られた瞬間、それは蛞蝓に変わり…白骨標本の剣に纏わりつく 『はわわわっ!?き、気持ち悪いです~!!』 ぶんぶんぶん!!!! 嫌そうに、白骨標本は剣を振り回す あの剣と化した部分も、彼女の体の一部 すなわち、体の上を蛞蝓が這っているような状態 …確かに、気持ち悪いだろう 「ほらほらぁっ!!」 蛞蝓おばさんは、両手に料理を構えてきた …って、待てや、こら 最早、料理の姿すらしてないぞ どう見ても蛞蝓山盛りだ 正直、見ていて気持ち悪い …だが 両手に料理を構えた 即ち、全力攻撃の合図 …チャンスか 「人体模型、アレを使え」 『アレ?あぁ、ガッコーの外出る前に何や言ってたアレですなー、わかりましたわー』 ぐぐっ、と 人体模型は、腹を突き出す …そして 蛞蝓おばさんが、両手に構えた料理を放とうとするよりも、先に…人体模型の攻撃がはじまる!!! 『胃袋ミサーーーーイル!!!!』 っぼん!!!! 轟音とともに、胃袋が発射される!! テリトリーの外に出て居る為、一度に発射できる内臓部位は一箇所ずつになってしまっている …だが、だからこそ 彼は、人体模型の胃袋に細工した 「あははぁ、打撃は効かないって……」 蛞蝓おばさんの言葉は、最後まで続かなかった 気付いたのだろう 発射された胃袋から零れ落ちる、白いそれに 「っま、まさかぁ!?」 「……お前の弱点は、あからさまだからな」 ぼすっ!!と 胃袋は、蛞蝓おばさんに命中した その体にぶつかり、バウンドし……その、衝撃で 胃袋に大量に収まっていた塩が、蛞蝓おばさんにぶちまけられるっ!! 「ぎぃゃああああああああああああああああああああ!!!!?????」 蛞蝓おばさんの悲鳴が、辺りに響き渡る どろり 全身に塩を浴びた蛞蝓おばさんの体が溶けていく …蛞蝓の弱点は、塩だ 昔から、そう決まっている 「…溶かして勝つなんざ、趣味じゃないんだがな」 …あいつじゃあるまいし 笑顔で敵対する者を溶かしていく弟の笑顔を一瞬思い浮かべてしまい、やや頭痛を感じながら 彼は静かに、解けていく蛞蝓おばさんを眺める どろり、どろり、どろり 塩で解けていく蛞蝓おばさん やがて、最初からいなかったように、消えていなくなってしまったのだった 「…帰るぞ」 『あ、は、はい』 ぶんぶぶん 蛞蝓を引き剥がし終わった白骨標本が、彼の言葉に答える 胃袋を回収した人体模型も、軽快なタップのリズムを踏みながら戻ってきた 『はっはっは、いつの間に胃袋が塩だらけになってたんやろ。どうりで胃袋が重たいと思ったわー』 「とっとと気づけ、その程度」 冷たく言い放ち、すたすたと進む …深夜とは言え、目撃されないとは言いかねない 白骨標本も人体模型も、誰にでもその姿は見えてしまうのだ さっさと学校に戻るに限る 『あ、あの…』 「……うん?」 …ふと、白骨標本が声をかけてきて どうした、と彼は無気力に振り返る 白骨標本は、どこかシュンとした様子で 『ごめんなさい…私たちのテリトリーが狭いから、苦戦してしまって…』 「………」 …まったく 今更、そんな事を気にしていたのか ふぅ、とタバコの煙を吐き出しつつ、彼は答える 「…別に、気にしちゃいない」 『で、でも…』 「元々、学校から出ること事態少ないんだ。問題ないだろ」 そう、今回は例外だ …あまり、学校の外では戦わないようにしている こいつらを、あまり外に出すべきではないのだ …それに 「………」 無意識に、彼は自分の首に触れる …あまり、必要以上に親しくなるべきではないのだ いつか、巻き込むかもしれないから 『…?あの…』 『どうかしたんでっかー?』 ぬぬっ 目の前に現れる、白骨標本と人体模型のどアップ ……… っじゅ 『うおわっちゃあ!!??』 「とっとと帰るぞ、遅れるなよ」 口にタバコを押し付けられ、悶絶する人体模型に冷たく言い放ち あわあわしている白骨標本も置いて、彼はさっさと進んでいくのだった 何故、貴方は戦う道を選びましたか? 何故、あなたは都市伝説と関わる事を選びましたか? 見て見ぬふりもできたと言うのに しかし、関わる事を選んだ、ということは 貴方は、覚悟が出来ていると、判断してもよろしいのでしょうか? Black Suit D 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
https://w.atwiki.jp/legends/pages/689.html
『えいっ!!』 『内臓ボンバーっ!!』 お化け屋敷の一室 そこにて、「夢の国の黒服」との戦闘が開始されていた 骨格標本と人体模型が、奇形の黒服たち相手に応戦する 「………」 彼は、タバコを咥えたまま、少し下がって、その様子を眺めていた …このお化け屋敷の傍には、弟がいる どこから入り込んだか知らないが、このお化け屋敷の中にも入ってくるくらいだ 恐らく…弟も、応戦していることだろう 「……死ぬなよ」 ぼそり、呟く そんな彼の背後から、奇形の黒服が手を伸ばし… ------ざんっ!!と その手が、何者かに切り落とされる 続けて首も切り落とされ…奇形の黒服は、掻き消えた 「………」 …首筋をさする 今日は、あの気配が随分と濃い これは、つまり… 「…俺は、いつ殺されてもおかしくない、ってか?」 …まぁ、そうだろう この混沌とした状況の中、人体模型と骨格標本がいるとは言え、ほぼノーガードで突っ立っているのだ いつ、殺されてもおかしくないのだ ……だが それをわかっていながら、彼はこうして、敵をひきつける 彼を殺そうとする者たちを、何者かが切り捨てていく 今は、ここにいないはずの何者か それが、彼を死なせないために迎撃する 「…獲物は他の奴に渡さない、ってか」 小さく、舌打ちする まったく、執念深い事だ 首筋をさすりながら、彼は呟く 「……まぁ、いい、そっちがその気なら……その日が来るまで、俺はお前を利用するだけだ」 その日が、そう遠くない事はわかっている …だから、こそ 俺を殺しにお前が来る、その時まで…俺は、お前を利用し尽くしてやろう そして、俺を殺しにきたお前に、俺は殺されはしない 短くなったタバコを握り潰し、彼は新たなタバコを取り出し、火をつけるのだった 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
https://w.atwiki.jp/legends/pages/188.html
…朝、起きれば、味噌汁のにおいがする 起き上がれば、おはよう兄さん、と弟が声をかけてくる …この生活に慣れきってしまった自分に嫌気がさす こいつを、兄離れさせようとしばらく離れて暮らしていたのも台無しだ いや、それとも、俺が弟離れできていないのか 「兄さん?どうかしたの?」 「…いや、なんでもない」 いただきます、と弟が作った朝食を食べ進める 白米に味噌汁、ほうれん草のおひたし、出し巻卵に塩焼きにした鮭 デザートに、手作りであろうゼリー 毎朝毎朝、よく作るものだ 弟がアパートに上がりこんできて以来、カップ麺を食べる回数が劇的に減った そろそろ、舌がコンビニ弁当を受け付けなくなってきている 「美味しい?」 「…不味くはない」 正直に美味いと言ってやるのも何か嫌でこう答えるのだが それでも、こいつは嬉しそうに笑うのだ そう言う笑顔は、彼女でも作って、そいつに向けてやれ 「ところで」 「なぁに?」 「…いい加減、仕事は決まったんだろうな?」 家事を全てやり遂げてくれてやがる事に関して、不満はないが 兄として、そこだけは心配だ 俺を追ってきた時点で、こいつは前の仕事をやめているはずだから 「一応、ブログを本にしたいって言われてるから、そっちの収入はあるよ?」 「そんなもん、ブログ本ブームが終われば収入なくなるだろうが」 そうだよねぇ、と弟は困ったように笑った 一応、自覚はあったらしい 「コレが役に立つ職場があればいいんだけどね」 「あってたまるか、そんな職場」 こん、とコーラのペットボトルをつつく弟に突っ込む 全てを溶かすコーラが役に立つ職場なんぞあってたまるか っつか、職業に生かそうとするな、その能力を 正直、こいつの能力は危険すぎる 弱点が無いわけではない コーラが一定距離内になければ使えず、液体や実体をもたない相手には無効 それらを差し引いても、使い勝手のいいこの能力は危険だろう 都市伝説を狩り立てる組織、という都市伝説も、最近耳に入ってきている そいつらが存在するとして、こいつが危険視されない理由は無いだろう 性格面も含めて こんなヤンデレだが、一応は俺の弟だ たった一人生き残っている、俺の肉親なのだから ……死なれるのは、流石に嫌だ 「ん~…あ、そうだ。最近行ったレストラン、アルバイト募集中だったような気がするな」 「レストラン?」 「うん。『うわさの産物』って言うお店」 …聞いたことがない ルーモアと言う喫茶店なら、聞いたことがあるが まぁ、レストランなら、こいつなら大丈夫だろう 料理はわりと上手い方だし 「なら、募集枠が埋まる前に、募集してみるんだな」 「うん、そうする」 あ、でも、と 箸を止め、弟は続けてくる 「でも、家の家事も、今まで通りやるからね。兄さん、料理も洗濯も掃除も全然できないもんね」 「……悪かったな」 「悪くないよ」 にっこり 満面の笑みを浮かべて、弟はこう、告げてくる 「だって、兄さんが家事がダメダメなお陰で、僕は兄さんの傍に置いてもらえるんだから」 「……あ~、そうかい」 …正直、学校から白骨標本を連れ出して連れ帰れば、家事はどうにかなる訳で そうなれば、こいつがいなくてもどうにかなるのだが ってか、今までも、家事ができなくてもなんとかなっていたから、別にいいのだが そんな事を口に出したら、弟は今すぐにでも首をつりかねない気がして、やめた …誰か、どうか教えてくれ ヤンデレにつける薬は存在するんだろうか 存在するとしたら、どうすれば手に入る? 誰か、それを教えてくれ それだけが、俺の望みだ fin 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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夢を見た それは、誰かが意図的に見せてきているのであろう、夢 伝えたい事があるのだろう それは、わかる わかるの、だが その生首姿を見て、俺が連想したものは テーブルの上に並べられていた、親父とお袋の……------ 「-------っ!?」 悪夢に跳ね起きる じわり 背中を、嫌な汗が伝った 「…ん…兄さん…?」 むくり 隣の布団で寝ていた弟も、起きて来た …やや、顔色が悪い 夢に出やがったあの生首落ち武者の言い様から察するに… 「…お前も、見たか?」 「あ……兄さん、も…?」 ぼんやりとしている弟 何とか、こちらの言葉は耳に入っているようだが… …多分、こいつも思い出してしまっているのだろう 俺達にとっての、最悪の出来事を 「…宴に招待、ねぇ」 「兄さん………行くの?」 「………」 …考える 参加する必要性 それが、自分にはあるか? 参加した場合のメリットとデメリットを考える 「……いいや」 やめておく、と 首筋をさすりながら、答える やめた方が、いい …俺の後ろに、いついるかもわからない存在 それに気づかれたら、不味い 「そっか…」 「お前は、どうするんだ?」 「んん………どうしよう…」 うとうととしている弟 トラウマを引きずり出されかねない夢を見て叩き起こされたようなものだ 意識がぼんやりしていて…はっきりとした判断が、できないのかもしれない 「……考えて、おくや…それより…僕、眠い…」 「そうか、じゃあ、もう一度寝ておけ」 「うん……兄さん……おやすみ…」 こてん、と 力尽きたように、弟は布団に倒れこむ そのまま、小さく寝息を立て始めた 「……全く」 布団を掛けなおしてやって…俺は、そっと立ち上がり、ベランダに出た タバコを咥え、火をつける 「首塚」の将門、か なんとも、悪趣味な招待状を送りつけてきやがったものだ まぁ、あちらは、こちらの事情など知った事ではないだろうが… 「生首は苦手なんだよ、俺達は」 それが、どんな生首であろうとも 俺達は恐らく、それを見るたびに あの日の悪夢を、否応なしに思い出すのだ fin 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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「そんな事はありえない」 そう言ってあなたはそれを馬鹿にする 「現実にそんな事が起こるわけがない」 そう言ってあなたはそれを馬鹿にする そうやって馬鹿にしているのならば 何故、それを噂するのでしょうか あなたが噂してしまえば、それは現実になってしまうと言うのに Red Cape ピアノの音が鳴り響く ぽろろん、ぽろろろん、ぽろろんろん 誰にも演奏されないはずのピアノ ひとりでにメロディを奏で続ける それは、深夜の学校には、相応しくないメロディ 狂ったように鳴り響くそれは、聴く者に狂気を連想させる 「真夜中に、音楽室のピアノがひとりでに演奏をはじめる」 それだけならば、ささやかな噂 さほど怖くない、ささやかな都市伝説 けれど、それに 「ひとりでに鳴り続けるピアノの演奏を最後まで聞くと死ぬ」 と、余計なオチを付け加えたのは、はたして誰だったのだろうか? 「さぁて、どうするか…」 そう呟き、白衣の男は目の前のピアノを見つめていた 誰かが演奏している訳でもないのに、鍵盤は勝手に動き、訳のわからないメロディを奏で続けている …ピアノを壊してしまえば早いのだろうか いや、一応これも学校の備品なのだ ヘタに壊すわけにもいくまい …それに このピアノが都市伝説の本体ではなかった場合、ピアノを破壊した事により、都市伝説本体が別のピアノに住処を移動する場合がある それは、たいへんと面倒臭い できれば、ここで決着を付けたいのだが… 『あ、あの!』 「なんだ?」 『その、せめて対策がわからないのであれば、ここから離れた方が…!』 おろおろ、カタカタ 白骨標本が、音を立てながらおろおろした仕草をしてくる 踊っていた人体模型は鬱陶しいので、とりあえず無視だ …確かに、白骨標本の言うとおりだろう この演奏を最後まで聞けば、恐らく、自分は死ぬ …ならば、最後まで聞かなければいいのである 演奏している場所から遠く離れてしまえば、演奏を聴かずにすむ 対策事態は、さほど難しくない都市伝説なのだ 通常考えれば、ここから離れて、ゆっくりと対策を練るべきだろう 人体模型と白骨標本はともかく…彼自身は、人間なのだ 都市伝説と契約しているだけの、ただの人間 都市伝説に対して特別な抗体や対抗手段を持っている訳でもなく この、ピアノを演奏し続ける都市伝説の能力が噂されている通りのものであれば、抗う事すらできずに殺されるだろう …しかし 彼は、その場を離れようとしない タバコを咥えたまま、静かにそのピアノを見下ろしている 「そうなんだがな…ただ、早いとこ何とかした方がいいだろうからな 噂を聞いた生徒が試しに聴きにきて死んだりしたら、洒落にならん」 『そ、そうですけど…』 『旦那、勇気と無謀は違いまっせ。いったん、引いた方がええんやないやろか?』 …人体模型の癖にまっとうな事を言うとは生意気な とまえ…二人になんと言われようとも、彼は離れるつもりはなかった この演奏を、最後まで聴くつもりだった …死にたい訳ではなく ただ少し …試したいことがあったのだ ピアノの演奏は続き、続き……そして 演奏が、終わった 『……っ!』 人体模型と白骨標本が、ピアノを睨みつける 演奏が終わった直後…ピアノの、中から 何か、もやもやとした、陽炎のようなものが現れ始めたのだ それは、もやもや漂いながら、人間の姿を形成する どこか病弱そうな、儚げな印象を感じさせる女生徒の幽霊…と、言った所か しかし、それは白衣の男の姿を視認した瞬間…にぃいいいい、と口元に笑みを浮かべた けたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけたけた 不気味に、不気味に笑い出す その口元からは、血があふれ続けていた 「…ピアノのコンクールに向けて毎日一生懸命練習するも、体を壊して死んでしまった幽霊…って奴かね」 正確には、そんな都市伝説から生まれた、幽霊のような存在 何が楽しいのか、それはけたけた、けたけた笑い続けて 邪悪に笑ったまま、白衣の男に向かって突進してくる! 『っく!?』 『三倍速っ!?』 白骨標本の骨の刃が、人体模型の内臓が、その幽霊を捉えようとするが しかし、幽体の体は、それらの攻撃を難なくすり抜ける 『----あ!?』 そして それは、白衣の男の前に立ち、盾になろうとした二人の体を、嘲笑うかのようにすり抜けて そのまま、白衣の男に向かって飛んでいく 「………」 白衣の男は、ただ、静かに 向かってくる、その幽霊を見つめていた けたけたと笑う様子には、先ほど一瞬感じたはかなさは消えうせている 噂から生まれた都市伝説 皆が噂したとおりの、皆が信じたとおりの行動と姿 目の前のそれは、どこかの誰かの悲劇を噂の種にすると言う、そんな発想から生まれた存在 それが、自分の首を絞めようと手を伸ばしてきている様子すらも…男はただ、何の興味もないかのように見つめていた なんと、馬鹿な人間だろう ピアノに取り付く幽霊という存在の、その都市伝説は嘲笑う 骨とグロの言うとおり、さっさとここを離れれば良かっただろうに そうすれば、死なずにすんだのに けたけたと、男を嘲笑いながら、幽霊は男の首に手を伸ばし… …その、瞬間 男の背後に見えた、「それ」に、気付いた 「---------っ!?」 何だ 何だ、それは 何だ、「そいつ」は!? 何故、そんな奴がここにいる!? 何故、そんな奴を背後に背負っている!? 男は、驚愕に目を見開く彼女を、ただ冷たく見下ろしていた 己の背後の存在に、気付いているのかいないのか… いや こいつは、「気付いている」! 背後の存在に、気付いていて…だから、こちらの演奏を最後まで聴いたのか!? 実際には、「それ」はここにはいない しかし、「それ」は確実に、この男の背後にいる だが、「それ」は男を護っている訳ではない 護ろうとしている訳ではない 「それ」が、背後に居る理由は… 「ひ……っ!?」 なんと言う事だろう 勝てない 私では、「それ」に勝つ事はできない 力の差が有りすぎる 年季が違いすぎる!? っこ、こんなもの狙われたら…っ 彼女が、逃げ出すよりも先に 「それ」の攻撃は、ここにいないはずの「それ」の放った攻撃は…彼女を、一瞬で切り裂いた 哀れ、ピアノを奏でていた幽霊という都市伝説は、ここにいないはずの「それ」によって、切り裂かれて消滅してしまったのだった 『今のは…?』 …白骨標本は、呆然と、その光景を見つめていた あの幽霊は…確かに、彼女の主である白衣の男にに襲い掛かったはずだった 演奏を最後まで聴いた白衣の男を、殺す為に しかし、あの幽霊は、白衣の男の首に手を伸ばした瞬間…何かに、怯えたような顔をして 直後、まるで何かに切り裂かれたように、霧散して、消えた 一体、何が起こったというのか 彼女には、まったくわからなかった 『な、なんやねん、今のは!?』 彼女の相方である人体模型も、驚いたような声をあげた 彼にも、わからないのだ 今、目の前で一体、何が起こったのか 「………」 白衣の男は、と言うと いつも通りの、どこかやるきなさげな、何もかもが投げ槍な、そんな表情をしていた 消え去った幽霊がいたそこを、じっと見つめている 「…終わったか」 『そ、そう…ですね』 …確かに あの幽霊は、消えた 都市伝説の本体が消滅したからには…もう、このピアノで怪異は起きない ピアノがひとりでに鳴り出す事はなくなり、その演奏を最後まで聴いて死んでしまう者はもういない …けれど 先ほど起こった現象が、一体、何だったのか? 彼女には、さっぱりわからない 彼女の相方にも、それはわからない わからない、が …何故だろうか 彼女たちの契約者である、その白衣の男だけは 何か、理由を知っていそうで 「…終わったし、俺は帰るぞ。お前たちも、準備室に戻ってろ」 『え、あ、あの…』 …引きとめようとして しかし、白骨標本は、それを止めた 引き止めて…どうするのだ? 事情を聞きだす? 聞き出して…どうするのだろうか? 気のせい、かも、しれないのだが なんだか、契約者が…あまり、その事を聞き出して欲しく無さそうな そんな、表情をしていたような、気がして 「…どうした?」 『…いえ、な、なんでもありません』 『ほな、さいなら~』 人体模型と共に、白骨標本は契約者を見送った …言い表しようのない不安と、嫌な予感を、静かに抱えながら 「………」 彼は、静かに自分の首筋をさすっていた 何も、変化はない あの幽霊に触れられてすらいないのだから、手の痕も残ってはいないだろう もし、そんな痕なんぞ残っていたら、過保護ブラコンヤンデレの弟に何を言われるか ついでに、あの弟が何をするか、わかったものではないが …だから、こそ 「あの事」を、あの弟に話す訳にはいくまい 話したら、確実に心配される 確実に、心配されて …そして、たった一人生き残っている肉親である双子の片割れが、命を落としてしまうかもしれない それだけは、避けたかった 無残な姿になった弟など、見たくなかった いつか、その日が近づけば、自分は「あれ」との戦いは避けられないのだ いまだ、対策は固まらないが…それでも、「あれ」と戦う必要性があるのだ かすかな望みをかけて、あの幽霊のような都市伝説が、「あれ」に少しはダメージを与えてくれる事を期待はしたが・・・ …しかし、あの様子だと無理だろう 己に手を伸ばしてきたあの幽霊は、こちらを狙う「あれ」の存在に気付き、怯え…何もできなかったのだから 「…まったく」 どうして、自分はこんな厄介な事に巻き込まれてしまっているのか 咥えていたタバコを握りつぶし、彼は帰路に着くべく、自転車をこぎ始めた …一瞬、記憶の片隅に蘇った、二つの首なし死体の様子を、振り払いながら… 人は闇に恐怖して 人は光を作りだし 光が照らして闇は深まり そして、ますます闇に恐怖して そして、人は噂する 闇から出てくるその影を 噂された影は笑う 命を得た影は笑う 生み出してくれてありがとうと 影は笑って そして、噂するあなたたちの背後にふっ、と現れる Red Cape 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話
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氷の悪魔やら、「教会」…というよりもエイブラハムの子飼いの契約者達が暴れまわっている、学校町 日が沈み切り、暗くなったその街で 「………」 何とか、安全圏を探してさまよう少女 …人間では、ない 空野 暦と言う、とある異常を抱え、しかも契約者である少女が描いた自画像から生まれてしまった…ドッペルゲンガー モデルである本人とは違い(失礼)ある程度の常識を兼ね備えている彼女 学校町のこの惨状に、それでも異常事態に気づかずに通常生活を営んでいる人々に半ば頭痛すら覚える 「…とにかく、安全な場所よ、安全な場所…」 そっと、物陰から顔を出す …よし、誰もない そう考え、駆けだしたのだが 「----っ!!」 感じた悪寒 背後から、氷の彫像のような悪魔達が、迫ってくる…! 「あぁ、もう!」 とにかく、逃げるしかない 駆けだした彼女を、悪魔達は追ってくる ばさり、翼を広げて低空飛行してくる悪魔達の方が、早い このままでは、追いつかれて… 「…伏せろっ!!」 誰かから、そう声をかけられ それに、答えたつもりではなかったのだが…足を雪にとられ、彼女は転んだ その、彼女の頭上を…投擲された何かが、通り過ぎて行って どぉおん!!!と 爆発音が、響き渡る 「っひ……!?」 飛んできた衝撃に、思わず身を固くする 凍れる悪魔達は爆発に巻き込まれ、氷のかけらとなってキラキラと月明かりを反射しながら、辺りに散らばっていった ころん、と やや大きめの塊が、転がって ぐしゃ!!と 誰かが、それを踏みつぶす 「えっと、兄さん。確か、こういうちょっと大きな結晶を踏みつぶしたら復活してこなくなったよね?」 「…そうだな」 …聞こえてきた声 それに、聞き覚えがある事に、彼女は気づいた 正確には、彼女のモデルとなった空野 暦と言う少女の記憶の中に、その声がある ……恐る恐る、顔を上げる そこにいたのは、二人の青年 一卵性の双子なのだろう、顔立ちはそっくりだ 一方は、メガネをかけ、髪をうなじの辺りで括っていて、白衣を着ている…ついでに、くわえ煙草をしている もう一方はにこにことした笑顔を浮かべていて、髪を三つ編みのようにして結んでいて…手に、コーラのペットボトルを持っている 中央高校化学教師 荒神 秀 その双子の弟であり……「組織」所属の契約者 荒神 涼 涼が「組織」所属契約者である事は暦の記憶にもない為、彼女が知らない事実ではあるが …彼女の勘が告げていた こいつらに関わったら、ヤバイ 特に、弟の方に関わったら、ヤバイ 逃げ出そうとした彼女 が 「……待て」 がしり 秀に、首根っこを掴まれた 見た目によらず握力も腕力もあるようで、逃れられない 「な、何でしょう、荒神先生?」 急いで、空野 暦本人のふりをしようとする彼女 が、とっさの事で、うまくできなかった しまった、彼女はこんな喋り方じゃない やはり、異質さに気づかれたのだろうか 秀がかすかに眉を歪める 「……お前、空野 暦じゃないな?」 「まぁ、本人だとしても、こんな夜遅くに学生さんが一人であるいちゃダメだよね」 にこにこ、涼が笑ってくる 何だろう、なんで、よくも知らないのに「こいつはヤンデレだ」ってわかるのだろう、怖い 「………話は、別の場所でじっくり聞かせてもらおうか」 「あぁ、尋問ルートっ!?」 「拷問ルートじゃないからいいよね、別に」 「さわやかな笑顔を張り付けて口走るセリフじゃないっ!?」 …いや、待て いっそ、この二人に確保された方が、まだ安全か? 悩みつつも、彼女は引きずられていったのだった to be … ? 前ページ連載 - 花子さんと契約した男の話